大友良英ギターソロライブ@新宿ピットイン

 今年初めにソロライブがライブ盤としてリリースされ、その“ほぼ完売記念ライブ”となった今回。大友良英のギターソロとなると、畏まってしまうというか、気張ってしまうというか、考えなきゃ!読み取らなきゃ!といったプレッシャーを感じてしまうのだけど、いざ始まってみるともっともっとオープンでフランクな雰囲気。それでも我知らず音に吸い寄せられていくのは、たぶんギターで語り尽くそうとしないからだろう。必ずどこかに隙間がある。アコギで爪弾かれるスタンダードにも、エレキがぶちかますノイジーな轟音にも。


 アコギで奏でるのは、言葉(音数)少なくて、パラパラした印象の音。それが頭のなかでつながって、メロディとなり、コードとなる。その過程がおもしろくて、スリリングで、美しい。ふつう私たちはメロディを音の頭で捉えるのだけど、コレを聴いていると、「音は消えるまでが音なんだ」と思えてくる。たまたま頭を捉えて並べると、そこにリズムが生まれてメロディというフォーマットになるのだけで、その形でなくても音楽としては充分に成立し得る。ごくシンプルな演奏スタイルなのに、含蓄があるというか。。


 で、そういうのがごく自然に耳に入ってくるのが、またイイ。合間のMCも、力が抜けていておもしろい。演奏に反して(?)、言葉数は多い(失礼!)。それもまた楽しみのひとつ。


 演奏中のみならず、終わってからもじんわり音が蘇ってくるような、そんな演奏だった。