酒井俊@お茶の水ナル

 めちゃめちゃシックで高級感漂う、正統派ジャズバー。
遊び慣れた役付リーマンっぽい人たちが、ボトルでちびちび。そうとは知らずいつもの調子でフラフラ入っていくわたしたち。こういうのを場違いというんだな。


 ライブはジャズのスタンダードから。ご本人のサイトなんかのプロフィールで、渡米してジャズシンガーを目指すも壁は高く云々みたいなことが書かれているのだけど、それって歌唱力というよりは、セクシュアルなアピール力みたいなところなのかな?という気がした。何というか、酒井さんが歌にぐいぐい没入していく感じが強くて、わたしはそういうところに好感を抱いたのだけど、たぶんそれだけじゃダメだったんだろうな。


 ところが、ポーグスやアメリカの古いフォーク、さらには日本の童謡などになると、断然、酒井さん自身が生きてくる。歌の世界を演じるというよりは、同化してしまっている感じ。歌を生き返らせるとはこういうことだ。おもしろい。


 メンバーは、松島啓之(tp)(林栄一が入る予定だったのだが、急遽変更)・桜井芳樹(g)・関島岳郎(tuba)・外山明(ds)。このバックのメンバーは、ほぼライブのたびに入れ替わっているよう。今回もたぶんほぼ初顔合わせのような組み合わせだったようで、開演前や休憩時間中に熱心に打ち合わせをしている姿が見られた。それでも時々食い違いがあったりして、そのたびに酒井さんがまるでお母さんのように、お姉さんのように訂正したり指示したりしている。でも、それがまたイイのだ。バラバラの音が重なり合って歌に吸収されていく過程を見るようで。。
多分にハラハラさせられたりもするのだけど、それだけに生命力を感じ取ることができる。だから毎回メンバーを替えるんだろうな、と勝手に思ったり。


 にしても。このシックな会場とセットになっていたリーマンたちは、(もちろん全員がそうではないが)意外にお行儀悪かった。上に書いたようなぎくしゃくにヤジ飛ばしたり、知ったかぶりしてみたり。場慣れ感を演出したいのだろうか。酒井さんのファンではあるらしく親しげに話しかけていたりもしたが、何か間違ってないか?? 場違いはカワイイもんだが、勘違いはタチが悪い。がっかりだぜ、おやじ。