石渡明廣MMS@新宿ピットイン

石渡明廣MMS(マルハウス&マゼランIII&SAL)との触れ込みだったのだが、結論から言えば、マルハウス(石渡明廣+上村勝正+外山明)に、途中からかわいしのぶ湊雅史が加わった形。


マルハウスが、サックス&チューバを含む5人編成から、現在の3人(あるいは、ピアノを加えた4人編成)になって、すっかりフットワークの軽いユニットになったことは大歓迎。「ただのフュージョンじゃん」と揶揄する向きもあったが、ポップであるがゆえに自由度が高く、こまねずみのような回転の速さと、個々の演奏者の洒脱さが相乗効果を生むライブは、かなり面白い。


が、今回、2ベース、2ドラムとなったことで、本来の良さである軽妙さが失せ、重く騒がしくなってしまったのは非常に残念。かわいしのぶは、ファンキーな上村とは対照的なポップかつ攻撃的な音をさりげなく出していて好感度大だったが、問題は湊雅史。この人は常に4拍子の大きなビートを叩く人。しかも音がこれまたデカい。繊細にリズムの機微を捉えるべきところで、ハイハットでシャンシャン4拍ずつ刻むもんだから、うるせー!!!と言いたくなった。一方の外山は、とりあえず4拍子はとりたてて音にしなくともみんなわかるよね?的な了解のもと、ややこしいリズムを叩く(そして、それを全部2拍子だと言いきる)人。キメは外さないが、基本はメインのギターとはパラレルにして異次元な世界を生み出してしまう。そんな2人のドラマーのキャラの違いがうまく絡み合えばよかったのだが、今回は×。湊のドラムがひたすらくどく、その大雑把なリズムの波間から顔を出そうとする外山も、なんだか苦しそう。お互いに阿吽の呼吸でのびやかに演奏するのがマルハウスの身上なのに、今回はそれぞれが没交渉で、ただただ決められたことに従って演奏してます、みたいな感じに終わってしまった。