鬼怒無月+ナスノミツル+外山明@新宿ピットイン

久しぶりに再開します。
ほぼ一年ぶりなのか。我ながら愕然……。
が、がんばりますっ!

少し前の初顔合わせでの即興ライブ@国立NO TRUNKSがやたらおもしろかったこの組み合わせ。
今回は、鬼怒名義のライブに他二人が加わった形。前回のライブに刺激されてのメンツであろうことは容易に想像できるが、それにしては趣を異にする内容だった。

鬼怒の持ち曲にナスノが寄り添い、外山が色を加えるという構成。鬼怒&ナスノは、付き合いが長いだけあって息もぴったり。流麗で、構築的な美しさを湛えた鬼怒のメロディーに、やんちゃで愛嬌たっぷりなナスノのベースがブイブイ絡む。ここに例えば芳垣のドラムなんかが加わると、たぶんとってもスマートに聴こえるんだろう。

が、そう簡単には流れないのが、外山ドラム。リハをしていないというわけではないのだろうが、まるで借りてきた猫のように、一瞬一瞬を探りながら切り込んでくる。もっとも、決めどころは絶対にハズさないのだが、いわゆる「慣れた感」というか、「打ち合わせした感」がまったくもってないのだ。ゆえに、リズムはそこはかとなくいびつで、聴き手はおのずと、ギター&ベースが醸し出すリズムを頭に刻みつつ、パラレルにドラマーのリズムを聴くことになる。ちょっとややこしいが、これが面白い。

外山のプレイ自体は、これまでとさほど変わらない。むしろ、まっとうなお仕事モードと言っていい。しかし、そこにある音楽に馴染みきってしまわない異物感が外山らしい。外山ドラムというと、とかく「立って叩く」とか「変な拍子」ということがフィーチャーされがちだが、この異物感こそ外山ドラムの根幹だ。以前、「ドラムを叩くって、海を泳ぐようなものなんですよ。泳ぎ方は横泳ぎでも犬かきでもどうでもよくて、要は前に進めて息つぎができればいい」と言っていたことを、あらためて思い出した。

組み合わせとしては、必ずしもベストではないと思う。鬼怒の良さをもっと端的に引き出すことのできるドラマーなら他にいるだろう。
しかし、この溶け合えそうで溶け込まない音が、鬼怒にとって新鮮だったに違いない。