高橋悠二+内橋和久+ジーン・コールマン@新宿ピットイン

 会場に着いたのは、前半の終わり頃。だからかもしれないが、序盤はこれといった波もなく。。まあ、地色を塗る段階だったということか。

 で、第2部。内橋のダクソフォンに、妙なトリップ感を感じる。目が捉えているのは明らかに小さな木片なのに、耳は人間の声だと言い張って譲らない。何度体感しても、この楽器の魔力にヤられてしまう。ジーン・コールマンの低〜いサックスは、楽器が勝手に風を含んで音を出しちゃったみたいな、正体のつかめなさがさらに磁場をゆがませる。途中、ダクソフォンとユニゾンした場面では、なんかもうこの世じゃないみたいな感覚に襲われたりした。

 その感覚をさらに揺さぶったのが、高橋悠二のピアノ。一瞬にして空気が変わる。とは、一緒に観たTさまの言だが、ホントその通り。別に衝撃的な音というわけではないのだけど、音の濁り方がとてつもなく美しく、またゾクゾクするほど不安を誘う。やさしげな表情の裏に見える毒牙が、音によりいっそうの艶やかさを与える。ライブとしては淡泊だったけれど、この一瞬の揺さぶりを体感できただけで幸せ。あとは余韻に浸っていよう。