外山明+大儀見元@新宿ピットイン

 客席の真ん中に向かいあわせにセットを組んで、360度どの方向からも観られるというスタイル。『ボイコット・リズム・マシン』では、実に丁寧にリズムを構築していたが、お馴染のライブではいきなりのかまし合い。2人のビートがどう違うのかとか、あそこでどういうやりとりが行われていたのかとか、そんなことはさすがに分からなかったけど、リズムのよれ具合とか、アクセントのつけ方とかが違うんだなー、ということは何となく感じ取れた。同じようにカタカタと16分を刻んでも、最初のカタと次のカタでは間の取り方が全然違うし、それが1拍の間に16コ入っているからといって決して1コが16分の1ではない。じーっと聴いていると、音が喋っているように思えてくるから不思議。

 そもそも均等に割った規則性のあるリズムなんて存在しないのだから、これは変拍子とは言えない。ヘンな拍子ではあるかもしれないけど、変則的なのではない。そういうリズムなのだ。でもって、大きく刻むとどの拍子も2拍子。外山さんが「オレは2拍子しか叩いていない!」と言っていた意味がよーーーくわかった。……ような気がした。

 展開は全体的になだらかで、特にどちらかが引っ張ったり裏をかいたりということはない。まあ、長年やってきた同志だからね。それだけにハッ!!!という感じはなかったが、むしろそういう驚かしみたいなものがなくて良かったのかも。できれば一日中聴いていたかったけど、外山さんが携帯で仕込んだアラームを合図にライブ終了。その唐突さがいかにも理不尽でおもしろかった。そもそも音楽に終わりなんてないのに……、と言いたげに物足りなそうな表情を浮かべるあたりもまた一興。。