ザ・ミュージック@Zepp TOKYO

 実は行くつもりじゃなかったこのライブ。ひょんなことからチケットが手に入り(ちゃんと買いましたよ!)、新譜の評判が良かったこともあって多少興味があったので、行ってみました。

 んーーーー。

 こういう打ち込みナシの踊れるロックって、遡るといろいろあるんだけど、もっと手に届きやすくてカジュアルで、まだ手あかが付いていないからちょっとした青田買い気分も味わえて。。という意味では、確かに需要はあるバンドなんだと思う。若いし、カッコイイし。
 
 で、確かにライブも見栄え良くて、それなりにちゃんとした演出もできていて、良さげなムードを作るのが上手いバンドだと思った。

 でも、全然駄目。楽しめない。そもそもこのバンドは、メロディーというよりは、声とノリで惹き付けて、リズムのうねりとかビートとかグルーヴとかいったもので引っ張っていくタイプなんだけど、肝心のビートが彼らの中で未消化な感じ。ドラムは走り気味だし、ベースは全然効いてこないし。テクノでもファンクでもなく、普段着ロックで踊らせようという感じは伝わるし、ぼんやりと全体像を眺める分には悪くないのだけど、ナマでよくよく聴くとボロが出る。アレンジも単調。ギターの音を使い分けるとか、パーカッションを入れてリズムに厚みを持たせるとか、いろいろ方法はあるだろうに、なんでこんな薄っぺら?? PAの問題なのか、妙に音がダンゴになっていたのも不満。メロディーもやっぱりまだ噛み応えがない。5分10分ならいいが、これで1時間は苦痛だなー。せめてドラマーさんにはもうちょっとリズムの“溜め”を覚えてもらわなきゃ。つんのめり気味なのが気持ち良いときもあるけど、このバンドはもっとねばり腰なリズムで聴きたい。

 ……というのが正直なところなのだけど、もしかしたらこれって、セックスピストルズに「もうちょっとギターとベースが上手くなんなきゃね」って言ってるようなもんかなあ?という気がする。今の通りだからこその人気なのかな?という気もする。

 “身の丈”って言葉は好きじゃないが、自分に馴染みのある感覚とか視野とか、そういういわゆる“身の丈に合った”ものから、人はなかなか抜け出せないものだ。良い悪いとは全然別の次元で、自分に負荷のかからないものに、人は惹かれていく。洋楽に強く影響を受けた邦楽のアーティストが好きだからといって、洋楽が好きになるとは限らないのと同じ。わたし自身でいえば、メタルっぽい音を湛えた亜流はむしろ好きだけど、メタルは駄目。もしかしたらそっちの方がすげえのかもしんないと思っても、身の丈に合わない音は入ってこない。

 で、このザ・ミュージックに関しては、彼らがちょうど良いと思っているリスナーはおそらくたくさんいるわけで、そのリスナーの期待に彼らはちゃんと応えているわけで(ライブ自体は熱のこもった良いものでした…)。。ニーズに応えるという意味では、彼らはやるべきことをまっとうにこなしていた。ただ、あの場にいた観客と同じニーズを持っていなかったわたしが満足できなかったというだけで。。

 だから、筋違いなこと言ってんのかもしれないなあ、とコレを書きながら迷っている。でも、だからって書かないでいると、コレも駄目アレも駄目ってことになって、どんどん守備範囲が狭くなる。逆に、自分はすげー!と思っても、人生の先輩たちから見れば駄目だよ、って場合もあるわけで、やっぱりその場合もどこか萎縮してしまうのだけど、そんなことを言っていたらホントに何も言えなくなっちゃう。。

 これは、ここ最近ずっと引っ掛かっていながら知らんぷりしていたことなんだけど、今回のライブが見事に思いださせてくれたのでした。

 いや、でもリズムの“溜め”は、大事だよ。