ジョン・ゾーン祭り@4日目

 正式タイトルは「ジョン・ゾーンビル・ラズウェル ローテーションズ」です。あしからず。

 今日のメンツは、ジョン+卷上公一+イクエ・モリ。それぞれの音がちゃんと生きる程度に風通しが良く、スカスカにはならない程度に密度が高い。3人だからこその、ちょうど良い塩梅。そして、このメンツだからこその内容の豊かさ。超高速で鋭く吹きまくるジョン。もしかして口の中に何か仕込んでる?と訝りたくなるくらい、普通では思いつかない音を発する卷上公一。たった1夲のサックス、たった1コの声帯(&テルミン)から発しているとは思えぬ手数の多さで、次々と、そして思いも寄らぬ方向に、音を転がしていく。絶対に先が読めない展開には、驚きの連続。しかし、それはただ虚を突くだけの驚かしではなく、腑に落ちる驚き。あり得べき展開でありながら、当たり前には陥らない意外性。それが良い。

 ナマで観るのが初めてだったイクエ・モリのラップトップも素晴らしかった。無機的な音を有機的に絡ませるセンスが好きだなあ。その時その場の景色を鋭く捉えているから、耳障りではなく耳に残る。とはいえ、ただお行儀良く状況にマッチした音を出しているのではなく、かなり手の込んだ&刺激的な演奏。さすが!です。

 可笑しさ(funny)を面白さ(interesting)に引き上げて、最後には客を唸らせてしまう卷上公一の懐の深さも、今日のライブになくてはならなかった。相当に高度なことをやりつつも、観客から眉間のしわをとっぱらってくれる大らかさ。彼のいるライブはいつも耳を柔らかくしてくれる。

 即興って、どうしてもそれぞれのテンションの差がモグラ叩きのようにボコボコしてしまったり、それを均すための継ぎ目が見えたり、キャッチボールの過程が見えたりするものだ。もちろんそれも醍醐味!なのだけど、今日は、絶対に微分できない演奏だった。言うまでもないが、せーの!で呼吸を合わせたわけではない(つうか、合わせようったって無理)。3人のやりたいことと全体の方向性が合致していたからこその、幸せな相乗効果。ガンガン煮詰めて研ぎ澄ませてや〜っとこさココまで到達しましたっ!みたいな頑張った感が皆無どころか、むしろ涼しげな表情でさえあるのが、また良い。

 結局のところ、メンツ勝ちってことだろうか。まあそう言っちゃ身も蓋もないんだが…。ともあれ、非常に見どころの多い、面白いライブでした。