ジョン・ゾーン祭り(?)2日目第2部

ビル・ラズウェル、カーシュ・カーレイ、山木秀夫近藤等則。ゲストに菊地成孔

 まずは、4人で2曲。あまりの凄まじさに震える。ニヤける(えっ?)。カーシュ・カーレイははじめはタブラを叩いていたが、程なくドラムに切り替え。彼のタブラはナマは初めてだけど、まず音の通りが非常に良いのに驚き。指先でパッティングしてるだけに見えるのに、音が鋭い。しかも微細なニュアンスがちゃんとあって、リズムというより流れで聴けるのが興味深い。口伝えで教えるらしいが、なるほど歌っているような表情がある。まあもっとも、アレをあの通りに歌うと唇がよじれそうだけど。。

 で、個人的に感動したのが、山木秀夫。実は昨年のジョン祭りで、ビル・ジョン・山木を観たのだが、いま振りかえってみると、あの時はまだちゃんとわかっていなかった。タムのささいな一音までがはっきり生きていることとか、リズムを物凄く鋭い1点で捉えていることとか。流れるようなドラミングの合間に差し挟まれるたった一打が、限りなく雄弁! そこに絡むカーシュ・カーレイのフィルインも、適確かつ計算外。両者とも決してすき間なく叩きまくったりするわけではないが、過不足なく確かに、しかし決して当たり前でないリズムを編み上げていく。過剰に振りかぶったりするわけじゃないのに、一音一音が正しく響く。素晴らしかった。

 そして、もはや神懸かっているようにさえ見えたのが、近藤等則。彼に関してはほとんど聴いたことがないので、他でのプレイと比較はできないが、器のデカさというか、生命体としての頑丈さ(?)といった、経験や努力ではどうやっても補いようのないものを、これでもか!と見せつけるような入魂の演奏。そして、出るわ出るわ、目の覚めるようなフレーズの数々。さすがです。

 3曲目から、菊地成孔が登場。これを良しとするかしないか、意見の分かれるところだと思うが、個人的には冒頭2曲ほどグっとくることはなかった。いや、菊地さんが良くなかったというわけじゃないのだけど、平たく言えばタイプが違ったという感じ。即興って、もっと即物的なやり取りだと思うのだけど、菊地さんはどうも恣意的…というと聞こえが悪いか…、語り部的な感じがする。くっきりと展開を作ってストーリーを切り取っていくような印象を受けるのだ。だから、他の4人の音のぶつけ合い&絡ませ合いとは別のラインの音に聞こえてしまう。

 もっとも、それだからこそ面白い!という聴き方もあるだろう。実際決して悪い演奏じゃなかった。というか、むしろ演奏自体は素晴らしかった。近藤さんと菊地さんで比べてみても、それは個性の違いでしかない。でも、“違い”のはずがどうも“格差”に見えてしまったというのが正直なところ。5人だと音のバランスが途端に悪くなったし。
4曲目は打ち込みメインで全体的に大味になるからか、菊地さんの音が非常に生きていたのだけどね。

 これ、菊地さんじゃなく、ジョン・ゾーンだったら違ってただろうなー。ま、あり得ないけど。。