イクエ・モリ×大友良英@下北沢LADY JANE

 睡眠不足で目をこすりつつ、久々のシモキタにオドオドしつつ向かった今日のライブ。正直、楽しめる自信はなかった。ラップトップのみのデュオって聴き慣れちゃいないし、ただでさえ眠いし…。

 でも、面白かったのです、これが。

 休憩をはさんだ2部制。イクエ・モリの音には、いつも肌触りを感じる。あらかじめ仕込んだ音のはずなのに、とてもナマっぽくてふくよか。対する大友良英は、あらゆる小道具(?)で、瞬間瞬間を刻んでいく。同じ速さで回転するターンテーブルに、不定形なものをランダムに置くことで、音にムラっ気が出るのが面白い。どちらの音にも明確に意志(意図じゃなくて)が感じられる。じっと目を閉じて聴いていると、それぞれの音が3次元的に響いてくるのが見えてきて、生きた音に包まれているような感触を得る。

 第2部は、大友良英のギターが入ったこともあり、よりスケール感が増す。このギターがとろけるほど心地よい。澄んだ音と不協和音。すべての音を溶かし込むそのギターが、2人の世界をさらに押し広げ…。すさまじいまでの酩酊感に襲われたのだった。

 恥ずかしながら、どういうしくみでどこからどの音が出ているのか、間近で見てもほぼわからない。が、だからこそ音だけに集中できる。即興音楽なんかもそうだけど、こういう唯物的(唯音的?)な音楽の楽しみ方って、一度ハマると限りなく遠くまでトリップできる。今日はそのハマり方が一際どんぴしゃで、本当に幸せな時間を過ごせたのでした。程よく眠かったのも、良かったかな…!?