9月11日(土)戸川純バンド@初台ドアーズ

 なんと前座が遠藤ミチロウ。なんでもこの日にココでライブをやろうと思っていたら、先約が純ちゃんだったために“押しかけ前座”、とか。凄かったっす。9.11だしね。ギターと声だけなのに、なんであんなにエネルギーがあるんだろう。あの声はとても1人の人間のものとは思えない。ホンモノ!って感じでした。

 で、純ちゃん。これはホントに観て良かった。まあ声は出てないし、崖っぷちギリギリなパフォーマンスだったわけだけど、んなことより何より彼女自身のエネルギーが満ちあふれていて、それに圧倒されたわけで。妖しかったり可愛かったり強烈だったり無垢だったり、いったいいくつの顔を見ただろう…。

 前半は、新譜の曲を曲順通りに、後半は20th戸川純をやはり曲順通り、という構成。個人的には「JOE LE TAXI」(ヴァネッサ・パラディのカバー。フランスのアイドル歌謡)が一番好きなのだけど、この曲の後のMCが興味深かった。曰く「この頃はどうしてもインプロ(即興)に流れがちなのだけど、ポップつうのは大事だろ!と思ったので、この曲をアルバムに入れました。この曲は、とても構成がかっちりしていて、そこをビシっとスクエアに決めて、なおかつそこから遊べるようにやれればと思って頑張るんですけど、実は案外難しくて、出だしで間違うとドミノ倒しみたいにガラガラっと崩れていくので…、っていうのはまあ言い訳なんですけど(笑)」(かなり意訳。ホントはもっとコメントがとっちらかっていて、呂律も回っていなかった。まあいつものことだけど・笑)。

 いやあ、良いコメントです。彼女って、いかにもアヴァンギャルドで破天荒な人だけれど、キチっと魅せ所を心得ている。この曲にはそういう部分が出ているなあと思って、だからアルバムで聴いたときから大好きだったのだけど、まさにそういうようなことを彼女自身も考えていたんだなあ、と思うと嬉しくなった次第。で、そんな彼女の発言を裏付けるかのように、確かにライブではアルバムよりさらに遅めのテンポでかっちり演奏されていた。ライブだから、アイドル歌謡だからってズルズルに流してしまわない。プロだなあと思いました。

 にしても、やっぱドラムに吉田達也、ベースにナスノミツル、ってだけでずいぶん見違えるものだなあ。惜しむらくはギターで、特に「ビコーズ・ザ・ナイト」は、やっぱ大友良英のギターが欲しかった…。

 とは言えど、本当に良いライブでした。