ようやく買ったデリンジャーエスケイプ・プランの新譜『ミス・マシン』。タイトルが、う〜ん。ダリの出来損ないみたいなジャケも、うむむ。。しかし、音は健在。まだ一聴しただけだからうかつなことは言いたかないが、少なくとも出来は良い(断言)。

 一部ではビミョーな反応だが、気持ちは分かる。変態度は抑えめだし、歌ってるし(あのヴォーカリストなのに!?)。このバンドのどこに力点を置くか、それによって評価が分かれる作品といえるだろう。あるいは聴く側が試されているというか…。

 今までの作品には、ヘヴィロック好き・ハードコア好き・メタル好きは言うに及ばず、アヴァンギャルド好き・プログレ好き・ジャズ好きをも取り込む、めちゃくちゃ強力で強引な牽引力があったが、今作はトーンダウン。カッコイイ変態フレーズは随所にちりばめつつも、楽曲としてすっきり整理されていて、“普通のバンド”になったという印象。当然、初見の頃のインパクトは弱くなっているわけで、だからイマイチ…と言いたくなる気持ちは、とってもよく分かる。

 けど、“普通のバンド”としての文法にのっとった楽曲を軸としたところに、あの狂ったように加速する暴走ギターが差し込まれる今作にこそ、このバンドの底力というか根の深さがあると思う。というところは、ひとまず認めるべきじゃないかと思う。少なくとも、これまで共演してきた同系列の他のバンドよりは凄いのだし。“普通のバンド”なんてヤだ!変態がいいっ!と言うならともかく。
 その上で、あの暇さえあったらマイクスタンド放り投げてる野獣系ヴォーカリストがちゃんと本分を全うしているかどうか、その“歌”がバンドの名に恥じぬ出来になっているかどうか。そのあたりがポイントになるのだが、その部分は印象としては少し分が悪そう…。どうしても、この前に出したマイク・パットンとの共作と比べてしまうし。ま、もう少しちゃんと聴いてからあらためて。。

 いずれにせよ、これまでよりマスを意識した作品づくり・イメージづくりがされているようで、どういう受け止められ方をするのか、ちょっと気になるところかな。