スリップノット

 勢い良くのし上がった作家でも、ある瞬間から急激にテンポが悪くなったりストーリーが空回りしたり、時代と噛みあわなくなったりすることはよくあるが、スリップノットの新作もそんな感じ。友達がサイト日記で書いていた「ギュンギュン鳴ってカワイイ感じ」ってのはたぶん、カラ元気感というかまだまだ現役感、みたいなものを感じ取っての表現だったのだろうな。
 『アイオワ』だけとはいえハッキリとやられてしまった私が感じるのは、もはや過去の遺物としか言いようのないことを、それでもやり続けてしまう恥ずかしさ。手癖なのかビジネスセンスなのかは分からないが、イタい。まさかこれが最新の音だとは思っていないだろうことを願いたいが(だってリフとかリズムとか聴き覚えのあるものばかりだし…)、頭のどこかの回線を切ってしまっているとしか思えない。無自覚であれ意図的であれ、もはや何の刺激も与えてくれない作品であることは間違いない。ちょっと残念。

 たぶんこれは、ボタンをひとつ掛け違うとこうも悲しい結果が待っているのだという好例。あるいは、いつも周囲をズレたり、流されたりしている自分にとっては、反面教師かも。そっか、そんな意味でのシンパシーは感じられるかもしれないな。