灰野敬二×成田宗弘×八木美知依 @六本木スーパーデラックス

 「爆音日記」と銘打っているわりには、弱音・微音に傾倒しつつある今日この頃。でも、爆音であれ微音であれ、その音が与える衝撃の大きさは変わらないんじゃないかと思う。ただ、爆音の場合は黙って口開けてりゃ衝撃が飛び込んでくるのに対し、微音の場合は一度こちらで解釈してあげなきゃいけないという違いはあるが。。

 そんな屁理屈はさておき、今回は口開けてりゃいい方のライブ。他にも面白そうなライブはたくさんあったんだけど、久しぶりにガツンとぶつかる爆音が聴きたかったので……。

 序盤は、ソロ〜2人ずつのセッション。最初は様子見なのか、ややユルなスタート。譜面台を立てて歌う灰野さんと、それに噛みつく成田さんの組み合わせも、隙間多めの展開。ただ、グシャっと濁音で攻める灰野さんに対し、あくまでもフレーズで対抗する成田さんというコントラストは面白かった。

 テンションが上がったのは、八木さんが加わってから。なんとバービーのコスプレで登場した八木さん。相変わらずキレが良い。八木さんが琴の底面を叩く音を合図に、灰野さんはタンバリンやシンバルを叩きつけ、飛び上がったり這いつくばったり。。音もパフォーマンスもとにかく過激。金属的な尖った音は、ちょっとした空気のブレで響き方が微妙に変わる。灰野さんの身体の動きひとつで、一度打ち鳴らされた音がうねるように変容していくのだ。面白い! あまりの刺激の強さに多少耳がおかしくなりそうだったけど……。

 3人のセッションは、もはや一分の隙もない轟音。何の計算もなく塗りつぶす灰野さんの濁音に、今度は明晰なバッキングと速弾きのコンビネーションで絡む成田さん。その脇から一見控えめに、でも、この音がなくてはなるまい!というドンピシャなタイミングで潜り込む八木さん。す、すごい。。

 文字通りポーっと口開けたまま呆然と轟音に埋もれた3時間半。思い返してみると、それはそれは幸福な時間なのでした。