5月21日(金) UA@渋谷公会堂

 いやもう、かわいいっすね。UAって。
 楽器以外は真っ白な舞台に、普段のライブそのまんまのミュージシャンたちと、花飾りをそのままドレスにしたようないでたちのUA。もう登場の瞬間から魅入られてしまった。
 メンバーは、内橋和久、菊地成孔佐々木史郎清水一登鈴木正人外山明。新作『SUN』の1曲目から始まったのだけど、序盤はどうもしっくりこないというか、堅いというか。微妙に緊張感が漂っていたような気がした。隣の女子たちは「キャー、ううあカワイイ♪」なんて妙にテンション高かったが。たぶん一因は、音が込みあいすぎていたことじゃないかな。すべての音がくっきりはっきりしていて、もちろんこちらの耳がまだ会場の音に慣れていないせいもあるのだろうけど、聴き方がわからないというか、神経の持って行きどころがわからないというか、ちょっと厚ぼったい音に思えたりした。でも、楽器の編成や音のめりはりがついてくると、緊張感も解けてきて…。と思っていたら、初期の傑作「情熱」。まったく違うアレンジのこの曲は、初期UAの隠れファンである私にとっては非常に嬉しいサプライズ。まさかこの頃の曲をやるとは思わなかっただけに。。
 ホーン3夲+UA、ドラム、ベース、ギター+UAといった変則的な編成になると、さらにUAの声が映える。特に、ホーン3夲との「雲がちぎれるとき」は、不協和音まじりのホーンアレンジが素晴らしかった。抑え気味に異次元なホーンが漂うなか、UAの声は冴え渡っていた。
 外山さんとUAのコンビというのも、なかなかに見応えがあった。ボーカル相手にそこでそのアクセント、普通ならつけないだろう、と思うところで、引っ掛かりのあるリズムを刻む外山。そして、それを受け止めて面白がっているUA。おおよそのアレンジはUAの声とメロディーが最大限に立つように配慮されていたが、ドラムはガシガシ食い込んでいるといった感じで、見応えがあった。気心知れたスマートなベースラインも、もうひとつのヴォーカルと言いたくなるほど表情豊かな内橋のダクソフォンも、抑え気味に吹けば吹くほど光っていた菊地のサックスも、みんなそれぞれにUAとのセッションを楽しんでいるような雰囲気に満ちていた。子供の心を持った大人の演奏家たちは本当に魅力的だった。
 それにしても、UAはかわいかった。人としてのかわいさ、とでも言うべきか。インプットとアウトプットのバランスが絶妙で、オープンで。伸びやかな肢体がそのまま彼女の個性を表しているようで、屈折しまくりの私としては、ああこういう人に1日でいいからなってみたい!と思ったものでありました。その発想が既にあかんのですが。