ファントマス@心斎橋クラブクアトロ

 東京2デイズに行けず、大阪遠征。東京ではメルトバナナのアガタが飛び入りとかで羨ましい限りだったのだけど、稼がにゃならんのだから仕方ない。


 前座はZu。イタリアのバンドで、前評判が高かったのだけど、なるほど確かにおもしろい。ちゃんと踊れる変拍子なのがいい。さすがルインズのフォロワー。サックスとドラムとギターのトリオで、リズムの屈折具合で引っ張っていくタイプの音楽なのだけど、目立っていたのはギター。時々ノーマークな方向から突っ込んでくるので一瞬あたふた。サックスはたぶんバリトンで、音出すだけでも大変ってのはあるんだけど、少々迫力不足というか。。PAがやたらドラムを強調していたせいもあるかもしれないけど、もっとメロディアスにいった方がかえって目立ったかもしれないのに、とも思う。いやもう何とかのひとつ憶えみたいに繰り返すが、2000年フジロックルインズ+小森慶子は、3人のベクトルの違いがバラバラで、でもバランスが取れていて、本当におもしろかった。筋違いとは知りつつも、どうしてもそれと比べてしまうのはいけない癖だが、やっぱり良いバンドだけにもっと凄いのを求めてしまう。

 で、そのZuの中盤で、ドラマーさんが「次の曲はサンバだぜ。踊るヤツいないかー!」とか声をかけたら、さすがは大阪。いましたよ、踊り子野郎が。舞台に上がってパフォーマンス(というか、タコ踊り・笑)。サンバとはほど遠いカクカクな変拍子とブレイクの嵐に、ちゃんとついていってました。演奏後、「冗談のつもりだったのに(笑)」とか言ってたけど、楽しかった。

 あと余談だが、このライブの途中に誰か引きずり出されてたんだけど、何だったんだろう? 喧嘩?


 気を取り直して。ファントマスの準備中、BGMはコンヴァージ『ユー・フェイル・ミー』。思わぬプレゼントをもらった気分で、じっとしていられなくなる。

 開演。5年前と同じく、右端前方にマイク・パットン、左端前方にドラムセット(でかいっ!)、中央奥にギターとベース。たぶんこの配置がもっともお互いを確認しやすいのだろう(と思ったけど、パズもトレヴァーも素知らぬ顔でマイペース。なんでアレであのややこしい曲にあわせられるんだろう?)。パットンの指揮と指示に従って演奏が進んでいくのだけど、5年前に感じたような神妙さは皆無。パットンはノリノリで、時折ニタッとデイヴに笑いかけている。身を屈めてタイミングを計り、伸び上がってキメ、反り返って気を吐き、身を乗り出して歌い上げる。その一挙一動から目の動き、口元のほころびに至るまで、すべてがパフォーマンス。計算されているとかそういうのじゃなくて、全身から音楽がほとばしっている。情報量のこれだけ多いライブなのに、全然疲れないとは素晴らしい。あっという間の1時間だった。ラフに構える客の雰囲気もよかったなあ。ホント、遠征してよかったです。幸せ。



 印象にすぎないのだけど、大阪の人って、良い意味で批評性がないというか、刹那的というか、そんなことを思いました。代わりにオモロイことに対する嗅覚が発達していて、ノリの良さにはノリで返す。肩の力が抜けていて、すごく気が楽。自分が大阪生まれなんだから当然といや当然かもしれないけど、居心地よかったですよー。ただ、夜にホテルで食べたたこ焼きが死ぬほどまずかったのには閉口したけど。あれならわたしが作った方が絶対ウマイって!