高円寺百景@初台DOORS

 ふぅ〜っ。やっとブログが追いついてきた。でも、宿題やっつける8月31日の心境であまりよろしくない。もっとスキルとスピードがほしい。

 ま、それはともかく。

 前回のDOORSライブでの予告以来、楽しみにしていた今回のライブ。レコ発です。

 第一部は、1st〜3rdまでの曲を、現在の編成(ドラム+ベース+キーボード+ヴォーカル+サックス)で演奏。このへんのはわりと後追いというか、まとめて聴いただけでライブ観たこともなかったので比較はできないのだけど、アルバムの印象に比べるとずいぶん楽しげになったというか。。何たって吉田達也、ころころ変わるリズムと速いフレーズがメインの鋭い音楽ばっかりなのだけど、管楽器の加入によってふくらみが出たような気がする。管楽器というのは息を吹き込んで音になるまでのタイムラグがほんの少しとはいえあるため、打楽器や鍵盤に比べると、音のピークがどうしても後ろにズレる。それはほんのコンマ数秒あるかないかぐらいの差なのだけど、その100分の1呼吸ぐらいのズレが、全体の音に丸みを与える。もちろん演奏者がズレているのではない。というよりむしろ、今回あらためて小森慶子のリズム感の良さに感嘆した。小森さんに限らず上手いミュージシャンはおしなべてそうだけど、細かいリズムを刻んでいても、大きなリズムをどこかで感じさせることができる。リズムの読解力がある、と言ったほうがいいか。まあ漠然とした話だけど。

 と、そんな感じで飛ばしっぱなしのハイテンションっぷりながら、どこか食いつきどころを用意しているような、チャーミングな演奏でした。




 が、やっぱり圧巻は、新譜をフィーチャーした第二部。明らかにサックスが加入した仕様で曲が作られている。踊れる変拍子とはまさにコレ。↑に書いた食いつきどころが、よりハッキリと打ち出されていて、単純に楽しい。もちろん複雑でめまぐるしい展開はこれまで通り。でも、ややこしいことをややこしく演るのではなく、とっかかりがあるから聴く側はどんどん引っ張られて、いい具合に踊らされる。ふつうにロックとしてカッコイイですよ。これはルインズとか是巨人より好みかもなあ〜。

勝井祐二+大友良英in the dark@曼荼羅2

 目を開いているか閉じているかさえ判然としないほどの完全な暗闇の中で聴く今回のスタイルは、メールス・ニュー・ジャズ・フェスティバルの企画を日本で再現したもの。いかなる光も差し込まないよう、あちこちに手が施された会場。開演前には、勝井さんから諸説明(笑)。「真っ暗なので、移動禁止。トイレもタバコも我慢してください。気分悪くなった人は…………、我慢してください」
 
 まずは、その勝井さんのソロ。細い糸を紡ぎ合わせるような繊細な演奏。目を見張るような、とか、総毛立つような、といった内容ではないけれど、音の位置を確かめながら、ゆっくり噛み砕くように聴くと、黄色い音の絨毯に乗って空を飛んでいるような気分に。視覚を断たれた状態で聴くとはどういうことか、まずは体感。
 
 で、そろそろ慣れたかなー?というところで、大友さんのソロ。いきなり後ろの上の方から音がガツン!とぶつかってきて、マジビビリ。そういや会場後方にあやしげな黒い幕をかけたスピーカーがあったっけ?と思い出したのはライブ後で、その最中はそんな余裕もなく。。金属をガンガン殴るような音(ウォーターホーンという料理用ボウルの縁にに金属の棒を立てた自作楽器。長さによって音階が違って、叩き方によっては果てしなく音が響く)もおっかなくて、掻き乱されっぱなし。見えないと先が読めないから、身構えできないんだよなー。残響は澄み切って美しく、夢心地。と思っていたら、またあらぬ方向からガツンとやられて……。実際には聴こえるはずのない方向から音が飛んでくる気がする、あの幻惑感はいったい何なんだろう??
 
 最後はデュオ。まさに勝井+大友といった内容。どうやったって真っ暗なんだから、通常の即興演奏のように相手との距離を測ったり反応しあったりすることはできないけど、音そのものの偶発的なやりとりが面白い。頭ン中に異空間がどんどん広がっていく感じもイイ。
 
 まあ、もう少し音量が出れば……とか、床に座っていたために身体に受ける衝撃が弱められたかも……とか、まあ残念なこともあったけど、こんなに音を聴くことそのものに神経を集中させたことって、そういやなかった気がするな。貴重な体験でした。再演望む!

高柳昌行ビデオ・DVD上映会

 JINYAディスク主催の上映会イベント。第一部は井野さんとのデュオ。高柳昌行が弾き出す音の確かな響きが身体に沁みる。どの音を出すかだけじゃなく、どう響かせるか。そこに全神経を集中させる。無駄がなくて、豊かで、高貴な音。
 
 
 第二部は、アクションダイレクト。演奏当時、あまりの轟音とそれによる振動のせいで壁の塗装が剥がれ落ちたという伝説のライブを、ほぼそのままに再現する形での上映(もっとも、当時を知っている人に言わせると、3分の2くらいだそうだが)。上映前に主催者からの諸説明。「気分が悪くなった方、出口は左手です」。
 まあ、壁やら天井やらからボロボロ落ちてくる様を想像すると、どんだけ恐ろしいものだったのかと思うが、実際に聴くとこんなに美しい音がこの世にあったのかと感嘆させられる。幾層にも重なる音の固まりが、ぶつかり合ったり離れたり、動いたり静止したり。絶えず揺らめく。そんな音の粒の中に身を置いて、演奏前の高柳さんのMC通りじっと目を閉じていると、身体感覚が麻痺してきて、音が見える。ような気がする。もちろん、3分の2とはいえ、身体にかかる負担はある。でも、それによって呼び覚まされるされる感覚もある。耳だけで受け取るにはあまりにも過大な音圧だからこそ見える風景が。音を聴くとは本来そういうものなのかもしれない。

ジェームズ・チャンス&ザ・コントーションズ@代官山UNIT

 前座が、RECK+中村達也+大友良英。ニュー・ウェイヴ・トリビュート『Fine Time2』完成記念イベントで話題をさらった最強ユニットが、再び見参。前回はいろんなコピーを交えて試験的にという趣だったけど、今回はすべてフリクション。ボトムばかりが強調される下ぶくれな音響には若干不満が残ったものの、演奏自体は前回をさらに上回る緊迫感。途中から入ったので、冒頭の大友さんのターンテーブルは聴き損ねたのが何より無念だけど、この3人のマジっぷりを堪能できただけでもよかった。
 
 で、コントーションズ。初めて観るのでどこまで期待していいのかわからないが、そこらのロックとは比べものにならないくらい、存在自体がカッコイイ。『NO NEW YORK』裏ジャケの写真(喧嘩で顔が腫れ上がったヤツ)で見るような尖った目つきはもはや窺えなかったけど、年齢を重ねた人でなければ出せないオーラとかふてぶてしさは充分感じられたし、すーっごく楽しめた。現役感というのとはちょっと違うけど、いわゆる同窓会みたいなノリじゃなかったのが何より。でも、自分があと10年歳をとっていたら、また違った見方になったかもしれないな。。

eEYO idiot+pere-furu@曼荼羅2

eEYO idiot(eEYO(vo.)、内橋和久(g)、中西信雄(B)、外山明(Ds))
pere furu(鬼怒無月(g)、勝井祐二(Vi))

 第一部はpere furu。この手の音楽にはおしなべて言えることだけど、録音モノよりは圧倒的にライブがいい。もともと線と線の絡み合いが肝なユニットだけに、ライブになるとなおさら音に立体感が出ておもしろい。途中、eEYOがゲスト参加。pere furuで歌モノとはかなりレアだが、これがまた絶妙なトライアングルをつくっていて、文句なし。鬼怒さんがあんなにやさしい音を出すとは……。
 
 にしても、マルセリーノの歌って、有名だと思っていたのに、勝井さんも鬼怒さんも知らないなんて……。
 
 
 
 第二部は、eEYO idiot。今回の目玉は何といっても内橋和久。歌にそっと寄り添いながら、さりげなく次の展開を提示する。主張はしないんだけど、すーっと音が立ってくる。さすがだなあ。他のメンバーも歌をメインに置いた演奏なのだけど、デニス・ガンのギターがくっきりかっちりメロディーを固めるのに対して、今回はeEYO自身の声とか雰囲気とか気分をサポートする感じ。同じ曲でも変わるもんだ。
 
 アンコールは全員参加。みなさんeEYOの曲でやりたいことがいっぱいあるようで、まさにアイデアの宝庫。でも、まったくバッティングしないし、誰も埋もれない。そして、最終的にはeEYOの歌にちゃんと収束していく。アンサンブルかくあるべし!という感じ。ホントもっと聴いていたかった。

WIZARD'S CONVENTION VOL.1 -Japanese Heavy Rock Showcase-

Boris/WRENCH/GREENMACHiNE/CHURCH OF MISERY/
ETERNAL ELYSIUM/MAD3/THE DEAD PAN SPEAKERS/
EARTH BLOW
スペシャルゲスト:PELICAN(from Chicago,US)
DJ:小林トレノ/ハッチャク/STUN


 久々に爆音日記っぽいメンツが揃いました! いやー、もう待った待った。これのために引っ越しを一週間早めたり、ちょうどそれが激務の時期と重なって大変だったりしたけど、何はともあれ行けてよかった。ほんとうに。。
 
 
 会場に着いたのは、MAD3の途中。何というかコレは、まあいいかなという感じ。けったいな格好と、どメタルな音で、スタンダードみたいな曲を演奏するってあたり、さながら宴会芸。フェスなら楽しいかもしれないが、わざわざ観るまでもないかなという気がした。それでも会場は大ウケ。売れっ子若手芸人の馴れ合い漫才みたい。いや、それはそれでいいんだけどね。勘違いさえしていなければ。
 
 
 続いて、GREENMACHiNE。前々からかっこいいバンドだとは思っていたけど、ホントにかっこいい。今どき珍しいくらい音が悪くて、粗雑。洗練されることを徹底的に拒否するスタンスが潔い。これといったアピールをしなくとも客はちゃんとついてくる。さっきのとは大違い。
 
 
 お次はレンチ。かなり久しぶりに観るのだけど、もう前しか見てませんって感じ。こんなにぐいぐい押してくるとは、多少は予想していたけどここまでとは思わなかったので、無性にコーフンさせられた。充実している人間は何よりも強い。それも、盲目的にイケイケなのではなく、いろんな思索を経てここまで来たのだから、なお強い。過去の曲を今の視点から見つめ直しているのも好感が持てた。昔の曲はなかったことにするバンドもいるが、彼らのように過去も含めて変わっていけるバンドって、なんか信用できるよな。
 
 
 んで、いよいよ待ちに待ったペリカン。観たかったー!と言いつつ、実はそこまで期待してよいものかどうか、ちょっとビミョーだったりした。正直なところ。でも、いい音出してたなあー。キレイめインストバンドって、ハーモニーを重視するあまり、音にメリハリがなくなったりしがち。その日のコンディション(精神面・身体面・機材面等々)にも影響を受けやすいだけに、ライブで良い状態を見せるのは、けっこう難しいんじゃないかと思う。が、このバンドは、若いのにそこをちゃんとクリアして、すごく濃密な音を出していた。あっぱれだ。アレンジが特に凝っているわけではないし、音が特に特徴的なわけでもないが、音の出し方、出てきた音の響き方、響いた音の展開のさせ方がとてもドラマチック。中盤以降の盛り上がりから終盤のクライマックスにかけては、展開が読めるんだけどドキドキする。いいバンドだ。
 
 
 最後(じゃないけど、個人的にはトリ)は、ボリス。これはもうコメントの必要がないくらい。かっこいい! ペリカンの面々もボリスと共演できるということでかなり張り切っていたと聞くが、それも納得の貫禄。ギターの音がすこぶる良い。殺伐としてたなあー。聴いてるだけで刺さりそう。ドラムのリズムが不安定に揺れる場面もあったけど、そんなのお構いなし。プリミティブな勢いはそのままに、でも音にはとてもこだわっているのがよくわかる。いかに磨き上げるかではなく、いかに傷だらけにして濁らせるかというこだわり。語彙の乏しさをさらすのを承知で……、かっこいいっす。
 
 
 で、この後も朝までライブは続いたのだけど、5万円フルコース級のご馳走も4食続くとさすがにヘトヘト。んなわけで、ここらで退散。けど、合間のDJも良かったし、イベントとしては最高に楽しかったので、大満足♪ VOL.1ってことは、続くのかな? だといいな。